みんなの聞こえ
音楽とより良い聞こえの関係とは? 歌うこと特にみんなで一緒に歌う経験が、騒音のある場所での会話の理解の向上につながる可能性があるかもしれません
2017/08/29
聞こえ

Music and better hearing: what's the connection?

お風呂に入るときはでは思わず歌を口ずさんでしまう、また車の運転中は実はロックシンガー張りに熱唱している、そんな皆様に朗報です。歌うという趣味は、ストレスを和らげたり、精神的な注意力を高めるたりするだけでなく、さらに「聞こえ」にもメリットがあるかもしれません。具体的には、騒音のある場所での会話の理解の向上につながる可能性があるとのことです。

この発見は、カナダトロント州のライアソン大学で教鞭をとる心理学の教授であり、音楽科学・聴覚研究・技術ラボ[Science of Music, Auditory Research and Technology(SMART)Lab:以下SMARTラボ]のディレクターでもあるフランク=ルッソ(Frank Russo)教授が行った研究によって得られた予備調査結果によるものです。ルッソ教授とSMARTラボの共同研究者たちは、音楽が脳に与える影響について研究しています。ルッソ教授らはまた、加齢が聴力にどのように影響するかについても関心を寄せています。彼らの研究は、「騒がしい環境で、高齢者が会話を理解するのがなぜ難しいのか」についての関心に端を発しています。

「歌うこと」と「会話の理解」との関係・・・

「聴力検査の結果と年齢との関連性を見ると、ミュージシャンは騒音下で会話を区別する能力が優れているように見えます」とルッソ教授は述べます。 「ミュージシャンは生まれつきそのような能力を持っている可能性もありますが、一方でトレーニングの成果かもしれません。私たちの現在の仮説は、”歌うことは音の高さの知覚を発達させ、結果的にうるさい環境における会話の知覚につながるのではないか”というものです。私たちは是が非でもこれを実験で確かめてみる必要がありました」

さらに、研究者らは実験比較を行うためのさらに2つの対照グループを編成しました。一つはただ音楽を聴くグループ、もう一つのグループでは(歌うことや聴くことを含め)音楽的な介入をまったく行わないグループです。研究者は、定期的に頭皮の上に脳波測定用の電極を付ける、頭皮電極の実験方法を用いて、最初のコーラスグループを含めた3つのグループそれぞれの参加者の聴性脳幹反応*を追跡しました。

ルッソ教授は、これによって彼の実験チームは、脳がどのくらい上手に音声を処理しているか、特にことばの母音に存在する特定のスピーチパターンにどのように反応したかを測定することができたと述べました。

どのような結果となったでしょうか?これらの研究ではコーラスグループでは、歌唱訓練の後に音に対する脳幹反応が改善するという結果となりました。比較対象とした他の2つのグループではこれらの改善は見られませんでした。

*聴性脳幹反応とは:音刺激によって頭皮上から得られる反応のうち、刺激が与えられてから反応が起こるまでの時間が短い反応のこと。(聴覚医学会用語一覧より抜粋)

楽器としてのわたしたちの「声」

「ミュージシャンにとって優位なことの一つは、ミュージシャンは、声の高低を追うことに長けていることにあります」とルッソ教授は述べます。ルッソ教授のグループは、前提条件についての実証テストの実施に際し、ボイストレーニングを取り入れた理由について「声はさまざまな音程を持ついわば楽器です。音程を合わせるとき、完全に音程を一致させるには、非常に細かい音の高低についての知覚を持つ必要があります。弦楽器を除けば、これが可能な楽器は多くはありません。高齢の方が、ヴァイオリンの演奏技術を身に着けるにはおそらく何年もかかりますが、『歌う』ことは年齢を重ねていても比較的たやすく習得できます。加えてほとんどの方は、それが小学校時代の音楽の授業だけだとしても、歌を歌った経験があるはずです。」さらにルッソ教授は続けて、「そんな風に言ってくれる人は、これまで皆さんの周りにはいなかったかもしれませんが、だれにとっても歌うことは良いことです。」

“スマートフォンにアプリをダウンロードしたり、シャワーを浴びながら歌うこと、これらは役に立つと思います。”-フランク=ルッソ教授

「わたし自身の職場やわたしの同僚の職場では、96〜97%の人々がかなり上手に歌えます。つまり、お互いに音程を合わせようと思えば、かなりの割合で音程を合わせられるということです。」ルッソ教授はさらに、「ひどく恐ろしい声色の持ち主や、発声タイミングがずれる人もいるかもしれませんが、それでも私たちは互いに音程を合わせられます。さらに練習を重ねれば、お互いぴったりと音程を合わせられるよう上達もできます。」

ルッソ教授は、高齢者が持つ一番の不満は、騒音下で会話の聞き取りの難しさにあると述べます。補聴器技術は大きな発展を遂げてきましたが、問題を完全に解決するわけではありません。将来、ルッソ教授と彼のSMART Labの同僚は、彼らの実験を補聴器装用者にも拡大したいと考えています。彼らはまた、メリットがどれくらい持続するものなのか、そしてなぜ歌うという活動が騒音下での会話の理解を改善するのかを研究することにも関心を深めています。

一緒に歌うことと社会生活でのメリット

「(コーラスグループで歌うといった)グループ活動への参加は、認知機能に対してや社会的なメリットをもたらします。」とルッソ教授は語ります。 「そのようなメリットが、今回の結果に寄与しているのかもしれません。実証結果を分かち合い、騒音下での会話の理解の向上というメリットに対して、何が実際に寄与しているのかを調べるために研究を継続しいくことは有用です。」

「いま、私たちは脳内で何か良いことが起こっていることが分かりました。高齢になってから新しい習慣を取り入れるとしても、「歌うこと」は日常にうまく取り入れやすいものです。コーラスに参加をしなくても歌唱力を改善する方法はいろいろあります。(歌うことに役立つ)スマートフォン用のアプリを試してみるのも一つかもしれません。またお風呂の中で歌ってみる、私はこれらはどれも役に立つと思います」

お近くのコーラスグループを検討する前に、聞こえを改善につながる方法もあります。最初のステップは、まず現在の聞こえについて知るために耳鼻咽喉科などで聴力検査を受けていただくことです。もし聴力低下が見られたとしても、現在の補聴器技術は、お気に入りの音楽、大切な音や会話を届けることができます。

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引用元について:Contributed by Debbie Clason, staff writer, Healthy Hearing | July 20, 2017

英語版は下記から参照いただけます:http://www.healthyhearing.com/report/52768-Music-and-better-hearing-what-s-the-connection