みんなの聞こえ
2月のこの時期は、チョコレートの話題が増える季節です。大人の皆さんはワインがさらに華を添えるのかも知れません。世界的にチョコレート、そしてワインは2月14日のバレンタインデーに愛を伝えるメッセージの代名詞となっています。
2018/02/09
聞こえ

製菓メーカー、ロッテの調査(2006)によれば、世界の中で日本のチョコレート消費量は第17位、1人当たり年間2.2kgを消費するとされ、総務省統計局(2017)では2月のチョコレートへの支出は年間平均の2.8倍に上がると算出しています。また酒造メーカー、メルシャンの調査データ(2017)によれば1人当たりのワインの国内消費量は3.2リットル。消費量は10年前の1.6倍となりワインブームを超え定着の域にあるとのことです。チョコレートもワインもロマンティックな雰囲気づくりに貢献しますが、この魅惑的な誘惑が、「聞こえ」に対しては何か悪い影響がないか気になるところです。

バレンタインチョコ
甘い誘惑も、節度を守れば聞こえの健康につながります。

大丈夫です、ワインでお祝いしましょう!

乾杯する人々

ワイン愛好家の皆様、うれしいニュースです。グラス1杯の赤ワインをたしなむ習慣が実際に聞こえの健康を守ることにつながり、特に過剰な騒音が原因となって起こる難聴には良い効果があると報告されています。赤ワインに含まれるうれしい成分はレスベラトロールのこと。レスベラトロールとは赤ブドウの表皮に見られる抗酸化物質のことで、コレステロールを低下させ炎症を軽減させると研究者らは報告しています。

米国デトロイト州のヘンリーフォード病院の研究者らは、健康な実験用のネズミにレスベラトロールを投与し、一定期間にわたって大きな騒音にさらしました。騒音のために聞こえが悪くなっていたネズミの聴力は(投与のないネズミに比較して)より早く回復するので、騒音性難聴を起こしにくいということがわかりました。 この研究は、米国の耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門誌「Otolaryngology-Head and Neck Surgeryオンライン版2013年2月号」上で発表され、難聴の原因につながる炎症反応に深く関与する酵素COX-2の量をレスベラトロールが減少させているということを明らかにしました。

しかしながら、グラス1杯または2杯の赤ワインは騒音性難聴の原因につながる炎症リスクを減らす一方、過度の飲酒は血中アルコール濃度を有害レベルまで引き上げ、きこえに永久的な損傷をもたらすことが分かっています。ドイツのウルム大学(University of Ulm)の研究者らが2004年に行った研究では、アルコール中毒により聴覚情報を処理する脳幹が損傷を受け、聴神経から伝わった聴覚情報に脳が素早く反応できなくなるということが判明しました。したがって、耳は正常に音を受け取っていたとしても、受け取った聴覚情報を解釈し音の意味を理解する脳の能力が、アルコールの影響によって阻害されているのです。

ダークチョコレートはお好きですか?

ダークチョコレート

一点だけ明らかにしておくべきことがあります。聞こえの健康を守るのはチョコレートそのものではありません。その役割を果たすのはチョコレートに含まれるミネラルの一つ亜鉛の働きです。特にダークチョコレートに亜鉛が含まれていますが、亜鉛は人の免疫システムを強化し耳の感染症を防ぐ役割が知られています。

亜鉛はまた、急にきこえが悪くなる突発性難聴の回復を手助けすると言われています。突発性難聴に悩む人々の割合は低いのですが、誰もが経験する可能性を秘めているタイプの難聴です。突発性難聴になった人の約65%が聴力を回復していますが、米国国立生物工学情報センターが2013年に行った研究では、医師により処方されたステロイド治療と亜鉛を組み合わせることによって難聴の回復率が格段に良くなるということが報告されています。研究者らは、亜鉛の抗酸化作用と抗炎症作用は、酸化によって内耳が受けるストレスを軽減したのではないかと考えています。 

注:亜鉛は抗生物質や利尿薬の作用を妨げることがありますので、サプリメントとして摂取する際は、必ず医師に摂取しても良いかどうかを確認してください。

炎症と聞こえの健康との関係

毛糸の心臓

ここまでに炎症という言葉が何回も出てきましたが、炎症は一体聴覚の健康とどんな関係があるのか?と思った方もいらっしゃるかもしれません。その答えは、音の処理が行われる内耳にあります。外耳によって収集された音を電気インパルスに変換して脳が認識できるようにする役割を果たすのが聴覚の感覚細胞である有毛細胞です。有毛細胞を健康に保つためには血液循環を良くしておくことが大切です。中耳炎などによって生ずる炎症は、血液循環を妨げ不動毛(有毛細胞の頂面にある構造)に修復不可能な損傷を与えることがあります。

他の哺乳動物とは異なり、ヒトの不動毛や有毛細胞は再生しません。細胞が死滅する、または傷つくことによって、私たちの聴覚は永久に影響を受けることになります。健康的な食習慣と運動習慣と共に過剰な環境騒音や職場での騒音を減らすことで、年齢を重ねても聴力を維持していく手助けとなります。

節度が鍵…

医師

さてこのバレンタインに愛や感謝を伝える方々も、実はチョコレートやワインそのものにこそ愛を注いでいるのだという皆さまも、人生の多くの事柄と同じく何事も節度は重要です。でも何よりチョコレート(覚えていますか、ダークがお勧めです!)やワインの味わいをまずは楽しみましょう。

研究ではダークチョコレートや適量の赤ワインを日ごろの食事に取り入れていただくメリットを挙げていますが、「聞こえの健康のために年に1度耳鼻科で聴力検査をする」これこそが最良の習慣で、現在の自分の聴力がどれぐらいなのかを知ることはとても大切なことです。たとえば聴力検査の結果、難聴があるとわかれば、残存する聴力を守るために気を付けなくてはいけないことを医師から学ぶこともできます。また聞こえや補聴器についてはお近くの補聴器販売店でもご相談が可能です。

参照サイト

ロッテ、世界のチョコレート文化

日本のワイン市場

Otolaryngology-Head and Neck Surgeryオンライン版2013年2月号(英文)

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■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから

米国「Healthy Hearing」2017年2月14日の記事「Chocolate,Wine and hearing loss」(Debbie Clason寄稿)