オーティコンについて
オーティコンアメリカのオーディオロジスト、全米最大のスポーツイベント「スーパーボウル」と、試合当日の気温や選手たちのヘルメット、スタジアムの設計構造、こうした要素と「聞こえ」との関係を調査
2014/03/10
プレスリリース

Oticon Hearing Experts Sound Off About How Cold, Helmets, Stadium Design and More Can Impact Hearing on Game Day

米国NJ、サマーセット発(原文はオーティコンアメリカにて現地1月24日に掲載)

「会場は楽しい喧騒ばかりに包まれているわけではないのです。」とオーティコンアメリカのオーディオロジスト(聴覚専門家)は警鐘を鳴らします。毎年人々を熱狂に巻きこむ全米最大のスポーツイベント、アメリカフットボールの試合「スーパーボウル」が2月2日、ニュージャージー州のメットライフ・スタジアム(MetLife Stadium)で開催されました。

デンマークに本社を持つ補聴器のリーディング企業オーティコンのアメリカ支社は、2014年のスーパーボウルが開催された、メットライフスタジアムまで、車を飛ばせばすぐの場所にあります。オーティコンのオーディオロジストチームは、今回のスーパーボウルに際して、天候、スタジアムの設計、さらには飲み物の選択といったことが、ファンと選手の双方の「聞こえ」に対しどんな影響を及ぼすのかについて見解を述べました。

オーティコンアメリカのオーディオロジストたちは、スーパーボウルの開催に先立ち、いくつかの研究を再検討し、また実際にスポーツバーや自社内の防音室などにて音に関する実験を行いました。その結果得られた興味深い事実や、スーパーボウルに代表される多くの人々の集うスポーツイベントなどで役立つ、健康な聞こえを守るためのアドバイスをスポーツファンに向け公開しました。

気温が音に及ぼす事実

天候は、スタジアム内の観客の耳に届く音の速さに影響を与えます。気温が下がると、音が耳に届くまでにわずかな遅延が生じます。メットライフスアジアムのあるイースト・ラザフォード地域の2月前半の最低温度の平均はマイナス5度(摂氏)です。

室外型のスタジアムでは、風にも温度を下げる冷却効果があります。良いニュースは、マイナスまで下がる極寒の気温であっても、スタジアムの最もチケット代の高い席と最も求めやすい席との間で観客に届く音の遅延は、おそらく4分の1秒程度にすぎないということです。

スタジアムの設計と騒音の関係

写真:メットライフスタジアム

「85デシベルを上回る大きな音へ長期間さらされることは永続的な難聴の原因となる場合があります」とAnette Mazevski博士(オーティコンアメリカ、テクノロジーアセスメントマネージャー)はいいます。「NFL(米国のプロアメリカンフットボールリーグ)のゲーム中の平均騒音は90デシベルの中頃に達します、この音は電動工具や芝刈り機を強で使用した際の騒音に匹敵すると推測されます。」

NFLチームのひとつ、シーホークス(Seahawks)のホームスタジアムでもあるセンチュリーリークフィールド(CenturyLink Stadium:ワシントン州シアトル)はオープンエアではあるものの両側に大きく張り出した屋根を持った設計のスタジアムです。ここでは、昨年12月に137.6デシベルという驚異的な騒音レベルを記録しました。「削岩機や、花火が打ちあがった際の音を想像してください」とMazevski博士はいいます。910x 740フィート(約277x225メートル)のオープンエアのメットライフスタジアムの設計構造では、音はドーム式といった屋内スタジアムのようには跳ね返ってきません。また同様に同スタジアムのプラスチックと鉄素材で作られた座席は、センチュリーフィールドのアルミニウム製の座席のようには音を反響させません。

その一方でメットライフスタジアムは、両サイドのゴールポスト近くに217枚のガラスを利用した特別観覧席があり、30×188フィートの巨大な4つのビデオ表示画面、スタジアムを360度囲むリボン・ボード(リボン状大型映像装置)やゴールポストそばの張り出したひさしといった、音の反射を起こす反射面も非常に多くあります。

スタジアムの規模や、競技が行われるフィールドとの距離も騒音を大きくする要因になります。NFLの中でも、二番目に大きいスタジアムとして、メットライフスタジアムは82,500人の観客が収容できます。スタジアム内で競技フィールドに最も近い観客席では、アメリカンフットボールのフィールド50ヤード付近のサイドラインから46フィート(約14メートル)の近距離となり、これは客席と競技フィールド間の距離ではNFLのスタジアム全体でも最短です。

騒音が試合運びに影響を与える可能性はあるのか・・・

アメリカンフットボールのヘルメットは、選手の頭部を守るためのものであり、聴覚器官を保護するように設計されているものではありません。ヘルメットの両側にある開口部分は、選手たちが観客の歓声やフィールド内でのさまざまなコール(ゲームの指示であるプレーコールや審判が出す反則などのコール)を聞くためのものです。オーティコンの聴覚学者たちは音響研究用に使用されるマネキン、キーマーにNFL認定のヘルメットを着用させて騒音レベルを測定しました。騒音レベルは、ヘルメット装着時とヘルメットの装着なしの場合で、事実上差異は生じませんでした。

一方でヘルメットは、耳の外側の柔らかい耳介の部分を覆いますが、人は耳介を活かして音像定位、すなわち音の性質や位置を判断します。したがって、ヘルメット着用時にこの部分がカバーされていることによって、選手たちは音がどの方向から来ているかを識別するためには、ヘルメットを着用していないときと比較して少し余分に判断時間を必要としている可能性があります。

NFLファンの皆様に前もって少し気に留めていただけたらという事実:1991年に行われたとある研究によれば、雑音や騒音の発生は、人々の不安や攻撃性をつのらせる一方で、助けようという衝動や思慮深く振る舞おうとする気持ちの発生比率を抑制してしまうということが明らかになりました。(1) 英国での研究によると、観客の大声などもフィールド上の選手や審判といった人々の判断に影響を与える可能性があることを示しています。この研究では、観客の歓声の影響を受け、審判がホームチームをひいき目に見てしまうかもしれないという傾向が見出されました。(2) 観客の声援や大声が生みだす不安といったものが、審判がペナルティコールなどを決定する際に影響を与えているのかどうかは疑わしいもものの、ホームグラウンドでプレーしている地元チームが受けるペナルティコールは相手チームより少ないといった傾向もあります。

ハドルとはアメリカンフットボールの試合において、プレー開始前に攻撃側、守備側それぞれのチームがフィールド上で行う作戦会議を指します。現在のアメリカンフットボールでのプレー戦略において不可欠な要素ですが、ハドルはその経緯に聞こえに関する歴史が関わっています。聾学校の選手たちは、フィールド上でのコミュニケーションの際に手話を用いていましたが、対戦側のチームはときに手の動きから戦略が解読できてしまうことがありました。1894年にギャローデット大学の機転の利いたクォーターバック(攻撃側のポジションの選手)が次に行うプレーを(敵側に)見せない方法としてハドルを導入したのです。

スポーツバー内の騒音は気になる、気にならない・・・そしてアルコールと聞こえの関係は?

スクリーンなどを通してスポーツ観戦ができるスポーツバーは、スーパーボウルのような大きな試合時には、かなりの騒音に満ちた場所となります。ミネソタ大学の研究によれば、スポーツバーで観戦しているファンにとっては、自分たちがなじんでいる環境であり、騒音を煩わしいと感じることが少ない傾向があります。(3)

NFLのプレーオフ期間中、オーティコンアメリカの聴覚科学者のグループは、プレーオフが開催されるいくつかの都市を訪れ、地元で人気のスポーツバーに実際に足を運び、騒音レベルテストを実施しました。「スポーツバーでの平均的な騒音は70デシベル前後と知ることができました。この騒音レベルは、バキュームクリーナーの騒音に相当します。」とMazevski博士は説明します。「タッチダウン(アメフトのゴール)成功時には、ファンの声援はほぼ110デシベルまで上昇し、ファインプレー時に至っては自動車のクラクションを上回る112.2デシベルまで騒音が跳ね上がりました」

一部の研究者は、適量のアルコール飲料の摂取は聴力損失に対してある種の保護剤のような作用があると述べています。(4)「適量」という点が鍵となります。1日あたり4杯以上のアルコール飲料を飲む人々は、難聴を持つ可能性が(そうでない人に比較して)より高い傾向にあるという報告もあります。(5)

イベントを思いっきり楽しむための聞こえのアドバイス

「スーパーボウル」の様な大きなゲームを安全に楽しむにための準備とは?オーティコンの聴覚学者は当日の準備に耳栓や優れたノイズキャンセリング機能を持つイヤーマフの追加をお勧めします。両方を併せて装用するとさらに騒音が抑制できます。

「耳栓は、お近くの薬局やホームストアなどで、わずか数ドルで購入できます。」とMazevski博士は言います。「騒音が大きすぎるときは、休憩を取って下さい。売店に行ってみる、またはスタジアムの周りを散歩するといったことを試してください」

帽子や暖かなマフラーなどは、凍てつく寒さから身を守ることはできても、スタジアム内の騒音から耳を守るには、素材の構造自体があまりにも音を通し過ぎてしまいます。気温が緩んで重いコートを脱ぐとき季節を迎えても、耳の守りは緩めないでください。

「騒がしい環境にいた直後に、しばらく耳鳴りがするのは珍しいことではありません。ただしその耳鳴りが3日以上たった後にも続くような場合には、耳鼻科など専門機関で検査を受けて下さい。」とMazevski博士はアドバイスします。

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■ FAX 044-543-0616
■ E-mail info@oticon.co.jp

  1. Suter, Alice H. “Administrative Conference of the United States: Noise and Its Effects, (November 1991).” [Online] 6 January 2014. http://www.nonoise.org/library/suter/suter.htm.
  2. Nevill, AM; Balmer, NJ; Mark Williams, A; (2002) The influence of crowd noise and experience upon refereeing decisions in football. Psychology of Sport and Exercise, 3(4):261 - 272.
  3. Filion, P., & Margolis, R. (1992). Comparison of clinical and real-life judgments of loudness discomfort. Journal of the American Academy of Audiology, 3:193-199.
  4. Popelka MM, Cruickshanks KJ, Wiley TL, Tweed TS, Klein BE, Klein R, Nondahl DM (2000). Moderate alcohol consumption and hearing loss: a protective effect. The Journal of the American Geriatric Society, 48(10): 1273-1278.
  5. Dalton DS, Cruickshanks KJ, Klein BEK, Klein R, Wiley TL, Nondahl DM: The impact of hearing loss on quality of life in older adults. The Gerontologist, 45(5): 661-668, 2003.

本記事はオーティコンアメリカにて掲載された記事を基に日本国内向けに、意訳並びに加筆を行ったものです。本記事のコピーライトは Oticon Inc.、並びにオーティコン株式会社に帰属します。本記事内に掲載された各社名、各チーム並びにスタジアムや製品名などの名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、その各作成者または提供者に帰属します。