みんなの聞こえ
3月3日は「耳の日」であり、同時にWHOが定める「国際耳の日」でもあります。世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITU)は、世界の若い世代11億人の聞こえを守るための新たな国際基準を公表しました。
2019/03/01
聞こえ
耳の日

3月3日の「耳の日」は、日本では難聴と言語障害をもつ人々の悩みを少しでも解決したいという、社会福祉への願いから始められた記念日です。また、電話の発明者であり、ろう教育者であったグラハム・ベルの誕生日もまた3月3日であることから世界保健機関(WHO)によってもこの日は“World Hearing Day”(ワールド・ヒアリング・デー/国際耳の日)と定められ、世界各地でこの日を中心に啓もうイベントや取り組みが行われています。

今年の「国際耳の日」に先立つ2月19日、WHOとITUは特に若者たちが聴覚を守りながら安全に音楽を楽しむためにスマートフォンやオーディオ機器等の製造と使用に関する新たな国際基準を発表しました。*1

WHOは、こうした機器で耳が長時間大音量の音にさらされることにより難聴のリスクが高まることを警告しています。その数は約11億人にのぼり、世界の12〜35歳の半数に及ぶと推定されています。

WHO事務局長のテドロス・アダノム博士による意見表明

「難聴を防ぐための技術的なノウハウがあるにも関わらず、多くの若者が音楽を聴くことで聴力を傷つけ兼ねない現実を放置すべきではありません。」WHOのホームページ上でWHO事務局長のテドロス・アダノム博士(Dr, Tedros Adhanom Ghebreyesus, WHO Director-General)は、このように述べています。さらに続けて「一度失われた聴力は、取り戻すことができないということを理解しなければなりません。この新たなWHO-ITU基準は、若い消費者がこれからあらゆることを楽しむうえで重要な聞こえを守るためのものです。」との意見を表明しています。

世界人口の実に5%強、4億6,600万人もの人々(成人4億3200万人、小児3,400万人)が難聴を抱えていることが報告されています。この大半は低中所得国に見られ、2050年までには9億人を超える人々、つまり10人に1人が難聴の問題を抱えると推定されています。難聴に対し適切な対処が行われないために全世界で年間7,500億米ドルの費用が必要とされ、難聴と報告されるケースの半分は公衆衛生対策によって防止できることが示唆されています。

安全な音楽機器が備えるべき機能とは?

耳の日

WHO-ITUの基準では、ポータブルを含む音楽機器に対し下記のような安全機能の搭載を推奨しています。

  • ・「音の許容量」機能:ユーザー使用状況ついて、音の大きさや何時間音楽を聴いているかなどの割合を記録・追跡するといったソフトウェア。
  • ・パーソナルプロファイル:ユーザーの使用状況に基づき、個別のプロファイルを作成、ユーザーがどの程度安全に音を聞いているか(または聞いていないか)を知らせ、情報に基づいた行動を促すもの。
  • ・音量制限オプション:自動的な音量制御や保護者が子供の音楽プレイヤーなどの音量制限を行えるペアレンタル機能といった音量制限のオプション。
  • ・一般的な情報提供として:個人用の音楽プレイヤーやライブ会場等での聞こえに関し、ユーザーへの安全な聴取方法に関する情報やガイドラインの提供。

安全なオーディオ機器のためのWHO-ITFU基準は、携帯音楽プレイヤーでの音楽鑑賞や、にぎやかな娯楽施設騒音曝露に対し、特に若い世代に向けて聞こえの良い習慣を高めるべく結成されたWHOの「Make Listening Safe(聞くことを安全なものにしよう)」のリードの下、公的機関、産業界、消費者を含む見識者や専門家の関与によって最新のエビデンスや協議に基づき2年の歳月を経て開発されたことが発表されています。

聴覚ケアはヘルスケア

本年の「耳の日そして国際耳の日」に際しオーティコン補聴器のプレジデント木下 聡は以下のメッセージを寄せています。

「3月3日の耳の日が、ご自身やご家族の聞こえを考えるきっかけになれば幸いです。騒音や大音量への曝露の蓄積によって起こる難聴は、ご自身の手で防ぐことができるのです。聞こえは、多くの場合、長い期間を経てゆっくりと低下するため自覚が難しく見過ごされることが多い問題です。しかし難聴によって周囲から取り残された気持ちになったり、孤独を感じたりすることは、潜在的にはストレスや抑うつといった、聞こえにとどまらない深刻な健康上の問題へとつながることが判明しています。年齢を越えて活動的な毎日を過ごしていくためにも、聴覚ケアの重要性が以前より増していることを近年の様々な研究が裏付けています。*2 *3
理想的には、健康診断や視力検査などと同様に、定期的に耳鼻科医に足を運んでいただければと思います。耳の日はもちろん、毎日の日常で、すべての年代の皆さんがご自身の聞こえや聴覚ケアへの関心をより一層高めてくださることを願っています。」

知っておきたい聞こえの知識

■難聴の原因となるイベント/活動 トップ5:

  1. 1.大音量のコンサート
  2. 2.ヘッドフォンの使用
  3. 3.大音量で音楽を聴く
  4. 4.騒がしい子供の傍にいること
  5. 5.交通量の多い通りの近くにいること

■聴覚を保護するための重要なヒント:

  1. 1.耳栓の着用 ※耳にフィットしていないと効果が得られない場合があり注意が必要。
  2. 2.耳栓を適切にフィットさせるのが難しいお子様の場合は、子供用の耳防護具を使用する。
  3. 3.大型大音量スピーカーとの距離を保つ。
  4. 4.周囲の音環境に不安がある場合は、アプリを使用して騒音測定を行う。
  5. 5.ヘッドフォンの音量に注意し、長時間の使用を控え、定期的に耳を休ませる。

 


■参照サイト

*1 世界保健機関HP
「New WHO-ITU standard aims to prevent hearing loss among 1.1 billion young people」

■参照文献

*2 “Self-Reported Hearing Loss, Hearing Aids, and Cognitive Decline in Elderly Adults: A 25-Year Study”, The American Geriatrics Society Oct. 2015, OCTOBER 2015–VOL. 63, NO. 10.

*3 Livingston G, Sommerlad A, Orgeta V, et al. Dementia presentation, intervention, and care. The Lancet. 2017;390(10113):2673-2734.

 

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