聞こえは子どもの発達に重要な役割を果たす
幼い子どもたちの脳は、周囲の世界について常に学んでいます。音は、発達の重要な段階にあるお子さまにとって、最も重要な情報源のひとつです。
聞こえは言語発達に不可欠
聞こえは、会話をすること、ニーズや欲求を表現すること、他者とつながること、つまりコミュニケーションの力を発見することを可能にします。これは新生児と両親との間の初期のつながりの基礎となるものです。
赤ちゃんは生まれた瞬間から言葉を発達させ始めます。話すことを覚えるずっと前から、彼らは常に耳を傾けています。彼らの脳は音を認識し理解することを学びます。お母さんの声や、環境中の特定の音が何を意味するのかを学んでいるのです。
難聴は早期発見が大切
難聴になると、言葉や話し方に遅れが生じるリスクが高まります。難聴の発見と対処が早ければ早いほど、言語発達の可能性が高まります。今日の技術では、生まれてすぐに難聴児の補聴器フィッティングが可能です。
子どもが難聴になるとどうなりますか?
- 受け取れる環境音や話し声が少なくなる
- 音声の一部しか脳に伝わらない
- 脳に負荷がかかる
- 音声が歪むことがある
- 騒音がコミュニケーションの障壁となる
- 足音、遠くの声、自然の音など、多くの小さな音は聞き取れないおそれ
- 話されている内容についていくのが大変になる
リスニングバブルを増やす
聴覚には、音の大きさと高さを識別する能力や、遠くの音を聞き取る能力があります。近くにいない人や別の部屋にいる人の話を聞くときは、距離聴覚を使っていることになります。この距離や聞こえの範囲は、リスニングバブルと表現できます1。難聴の子どもは、健聴の子どもよりもリスニングバブルが小さくなります。
補聴器は、子どもののリスニングバブルを大きくします。起きている間ずっと補聴器を装用することで、子どもたちの聴力を最適な状態に保つことができます。

子どものコミュニケーションを助けるには
私たちがコミュニケーションをとるとき、使うのは話し言葉だけではありません。手や身振り、表情も使います。これらを使うことで、互いの理解度を高めることができます。
以下の基本的なコミュニケーション支援方法は、お子さまとのコミュニケーションをより円滑にするのに役立つ可能性があります。ひとつずつ試してみることをお勧めします。
良好なコミュニケーション習慣
1.
できれば1~2メートル以内で、話すときは常に子どもの方を向きましょう。
2.
顔の表情が見やすく、唇の動きが読みやすいように、顔を視界に入れ、十分な明るさを保ちましょう。
3.
食べ物を噛みながら話さないようにしましょう。言っていることが不明瞭になり、唇の形の読み取りも難しくなるためです。
4.
手の上に顔をのせて顔を隠さないようにしましょう。
5.
普通のペースではっきりと話し、大声を出す必要はないことに留意しましょう。
6.
子どもが理解に苦労している場合は、自分の言葉を繰り返すのではなく、単語や文章を言い換えてみましょう。
7.
子どもと話すときは、雑音を避けるようにしましょう。テレビなどの機器の電源を切り、外が騒がしい場合は窓を閉めましょう。
8.
周囲の雑音が避けられない場合は、自分の声が周囲の雑音より大きくなるように近づくか、もっと静かな場所に移動しましょう。
子どものためのコミュニケーション支援
読話
読話は、私たちの唇がさまざまな単語をどのように発音しているかを示してくれるため、会話をサポートしてくれます。例えば「man」と「land」のように、似たように聞こえる単語を区別するのに役立ちます。このように、読話は難聴のお子さまにとって重要です。
キュード・スピーチ
キュード・スピーチは、聴覚障害のある子どもにとって話し言葉を補完する手段にもなり、子どもの音声と言語の発達を助けることができます。この技法を使うには、まず特定の音が口の中のどこで作られるかを学びます。次に、その音を特定の手のジェスチャーと結びつけて、話し言葉を視覚的にサポートします。
この技法を使うには、特別なトレーニングを受ける必要があります。
手話
高度から重度の難聴の児童は手話を使うこともあります。手話を学ぶには、お子さまとご家族の両方が積極的に関わる必要があります。聴覚ケアの専門家や言語聴覚士に、自分の状況に合ったコミュニケーション方法を相談したり、他の親や教師、難聴の大人と話したりしましょう。
クリア・スピーチ・メソッド
クリア・スピーチ・メソッドは、特別な話し方の方法です。この方法では、単語や文を正確かつ明瞭に発音することを学びます。単語の語尾を省略せず、すべてのフレーズや文の間に適切な間(ポーズ)を入れることが特徴です。
この方法を使って話すと、自然と話すスピードがゆっくりになり、声が大きくなります。また、声の抑揚(イントネーション)をより豊かに使い、重要な単語を強調することで、話し方がより生き生きとしたものになります。
参考文献
- Karen L. Anderson, PhD, 2002