この冬、あなたの聞こえを守る5つのヒント

16/01/20

地球温暖化やエルニーニョの影響など、暖冬のお話がちらほらと聞こえてきます、でも決して油断をしてはなりません、寒気団の接近を、この冬も皆さんも何度か経験されていると思います。冬の寒さは、時として健康な聞こえに対する脅威となることがあります。

気温差が激しい冬だからこそ皆様の聞こえとそして補聴器を守るためのヒントをお届けします。

Tips to protect your hearing this winter| 米国HealthyHearing 2015年12月1日掲載の記事を基に日本国内に合わせて編集

騒音:Noise

かわいい雪だるま

工事用車両の騒音は、聞こえの安全にとって危険な存在ですが、北国などでは、この季節ならではの騒音源となり得る事業車両の代表格に除雪車があります。除雪車の騒音は100デシベルを超えることがあります。このレベルの騒音は、耳の奥の蝸牛(耳から入ってきた音を脳に届ける仕事を担っており、聞こえに直接的な影響を与える)に永続な損傷を与える可能性があります。

聞こえを守る簡単な解決法は、お近くのドラッグストアで購入可能な、フォーム状の耳栓を使用することです。電動タイプの除雪車をお使いの皆様もまた、騒音源が耳の近くにあることになります。安全チェック項目に、耳栓やイヤーマフ(ヘッドフォンタイプの保護具)の装着といった聞こえを守る項目も加えてください 。

転倒:Falling

2014年の米国ジョンホプキンズ大学の研究によれば、難聴を抱えている方は、健聴者に比較すると、転倒のリスクが約3倍に高まるとされています。研究者たちは、この原因について(聞くことに労力を費やすことによる)認知機能への過度な負荷、周囲の状況確認を行うことの減少、耳の奥の内耳にあり、身体の平衡感覚(体、特に頭部の位置の変化)に欠かせない働きを担う前庭器官の損傷との関係などについて推測していますが、一つ確かなこととして-道路の凍結や降雪など、冬の間は、誰にとっても転倒につながる危険性は高まるということです。

もし難聴によって、前庭器官や平衡バランスの器官に問題があるとすれば、特に凍っていたり、雪が積もっていたりする場所やぬかるみ、凍ってつるつるの階段など転倒につながりやすい場所では、いつも以上に気を配る必要があるといえるでしょう。

耳の感染症:Ear infections

冬は、大人と子どもの双方で、耳の感染症が増える時期でもあります。その理由の一つに、寒さによって血液循環が悪くなるということがあります。耳の不快感が増す、耳穴への水分の浸入、バクテリアなど痛みを伴う症状で知られている中耳炎につながるさまざまな事由をあげることができます。

中耳炎(Otitis Media、中耳付近で起こる感染症)は、鼓膜よりさらに奥にある中耳に炎症が起こる症状を指しますが、風邪から、またウイルスやバクテリアによって引き起こされる感染症でもあります。感染によって鼓膜の裏側に炎症が生じ耳管を塞いでしまうこともあります。中耳炎の症状の多くは、抗生物質によって治療が可能ですが、治療をせずそのままにすることで、一時的に難聴の症状を引き起こすこともあります。風邪の症状があるときは無理せずにすぐに十分な休養を取ること、薬をのむなど適切な治療を受けること、そして水分を十分に摂取することも大切です。耳の感染が疑われる場合は、聞こえを守るためにも、躊躇することなく耳鼻科医を訪れましょう。

マフラーをするなど、「耳をあたたかくしておく」、そして「耳をぬらしたままにしない」などによって、耳の感染症リスクを減らすことができます。抵抗力が低下しがちなこの季節、健康的な食事と適度な運動によって血液循環を促進することは、耳の健康にとっても効果的です。

厳寒:Extreme cold

スノボー

気温が極端に低い日には、耳あて、帽子、マフラーやスカーフなどはファッションアイテム以上の役割をはたします。ひじょうに冷たい空気や風、冷たい水にさられる状態が長時間続くことは、外耳道外骨腫(exostosis)と呼ばれる状態につながることがあります。サーファーズイヤー(Surfer’s ear)としても知られるこの症状は冷たい水の中で長時間を過ごす、サーファーたちや、漁師・海女さんなどの間で起こりやすいことが古くから知られています。外耳道外骨腫は、冷水や冷気の刺激にさらされ続けることで耳の外耳道の奥部(骨部外耳耳)の骨が増殖し、外耳道が狭窄された(骨増殖性隆起)状態になることを指します。

外耳道がブロックされた状態になると、水分などが耳の中に残りやすく感染症のリスクも高まります。この症状は手術によって治すことができますが、スキーやスノーボード愛好家の皆様、ウィンタースポーツの際には、耳を保護して暖かく、かわいた状態を保つことでこのような症状が起こるリスクを下げることができます。

補聴器を保護すること:Protect your hearing aids

補聴器もまた、寒い冬の影響を受けます。帽子やマフラー、スカーフ、耳あては聞こえを守るだけではなく、補聴器も守ります。風、雨、冷気や凍てつくような寒さは、電池寿命が短くなったり、補聴器に結露が生じたりする場合があります。帽子や耳あてによって補聴器を冷やさずドライな状態に保つことは良いアイデアですが汗をかいてしまうほどの過度な防御は、逆に補聴器に結露を生じさせることにもつながります。

効果的な解決策として、補聴器を外した後は、電池を外して補聴器をドライケースに収納することをお勧めします。また補聴器に汗カバーを装着する方法もあります。イヤギヤ社の汗カバーはウェットスーツにも使用されるスパンデックス素材で作られており、補聴器を汗から守るようにデザインされています。また冬に降雨量の多い地域にお住まいの方は、日常防水仕様の補聴器を選択する方法もあるかもしれません。

飛行機での移動:Flying

この冬旅行などで飛行機での移動を計画されているかもしれません。もし体調が悪い場合は、飛行機でのフライトは避けましょう。寒さは、耳管を塞いでしまうことにもつながります。わたしたちの耳はふだん鼓膜の外側と内側では空気圧が一定に保たれています。耳管は耳の中と外の空気圧を調節する働きを担っていますが、この気圧の調整が妨げられることは、鼓膜の損傷や深刻な感染症を引き起こす原因につながります。このような症状は、一時的な難聴やその他の問題へと発展する危険性もあります。

風邪やアレルギー症状、耳詰まりなどの症状がある場合には、深刻な問題に発展する前に、フライトの予定を変更することも大切です。またもし飛行機での移動後に、耳や聞こえに違和感を生じた場合、また特に数日たってもその症状が続く場合には、できるだけ早めに耳鼻科医にご相談下さい。

室内スポーツ競技施設:Indoor sports arenas

女の子

冬の季節、バスケットボールやバレーボール、フィギュアスケートやアイスショー、アイスホッケーなど、お気に入りのチームや選手を応援するために室内でのスポーツ観戦に足を運ぶ方も多いと思います。注意点として、これらの室内競技施設の騒音レベルが、危険なレベルに達することが往々にあります。ファンからの熱狂的なサポートや大会の盛りあがりを示すバロメーターとして、大会を開催する当事者が、会場内の音量が記録破りの盛り上がり(record-breaking decibel level)に達することをむしろ誇りとしている場合もあります。

一部の室内スポーツ施設の喧騒は、120デシベルに達することもありますが、専門家によればこのレベルの騒音は、直ちに耳を傷める可能性もあり得るとのことです。たとえすぐには問題を生じないとしても、騒音によるダメージは長きにわたって聞こえに影響を蓄積していきます。シンプルな方法ではあるものの、やはりドラッグストアなどで簡単に手に入るフォーム素材の耳栓を着用することが、騒音に加えて過度の騒音の生み出す振動騒音の影響を減らして、将来にわたって聞こえへの守りを助けます。

寒さから耳を守る確実な方法として暖かな南国、例えば太陽の光が降り注ぐフロリダなどに引っ越してしまうといった解決法がいままでよりもっと耳に優しく響きますが、安心して下さい。ヒントを活かして、適切な耳の保護具の着用すること、そしていつもより少しだけご自身の耳の健康に目をくばっていただくことで、雪どけとともに健康な聞こえで、春の小鳥たちのさえずりを楽しんでいただくことができます。

【本件に関するお問い合わせ】
  • オーティコン補聴器 (渋谷、山口)
  • TEL 044-543-0615
  • FAX 044-543-0616
  • E-mail info@oticon.co.jp

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事をベースに、一般的な情報提供を目的として意訳また日本において加筆編集を行ったものです。

本記事のコピーライトは Oticon Japan/healthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、Oticon Japan/healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

引用元について:Contributed by Lisa Packer, staff writer for Healthy Hearing | Tuesday, December 1st, 2015

英語版は下記から参照いただけます: http://www.healthyhearing.com/report/52584-Tips-to-protect-your-hearing-this-winter