1.聞こえているから、現在のままでよい
もっとも耳にする理由の一つですが、ご家族そしてご本人の双方が聞こえに問題があることを認識していただくことが最初のハードルとなるかもしれません。
はっきりと聞こえていない現実に対し、家族や周囲の人々が、何度も繰り返す、できるだけ大きな声で話すといった形で常に聞こえをサポートしていることは少なくありません。いわば家族が人間補聴器の役割を果たすことで、聞こえが成り立っているという場合も多く見受けられます。
大切な人が抱えている聞こえの問題について、打開策を見出す良い方法の一つは、耳や聞こえの仕組みや難聴について、当事者であるご本人にまず理解いただくことです。健康診断、耳鼻科での聴力検査を通じて得られる客観的なデータを基にすることで、今の聞こえの状態について何が正しく、何が正しくないのか分からないといった状況から一歩進んで、聞こえの問題についてどんな対処ができるのかという会話を持つことができます。